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備忘録

リー・クアンユー 未来への提言


シンガポール建国の父とされた人のインタビューをまとめたもの。
大部だが、割とすいすい読める。
一人当たりのGDPでは、シンガポールが日本をはるかに上回っているけれど、
この本を読む限り、偶然ではなく、長い間の努力の結果という気がしないでもない。

いま、日本のほうがシンガポールから学ぶことを真剣に考えるべきではなかろうか。

(p12)

トップに弱い人物を就けるとシステム全体が劣化していまう。それは避けられないことなのだ。

(p25)

我々が阻止しているのは、役に立たない人々が議会や政府に入ることなのだ。

(p26)

長年かけてわかったのは、どの分野でも、それがゼネラル・エレクトロニックだろうとIBM、マイクロソフトだろうと、リーダーというのは基本的資質がいくつかある人間ということだ。高いIQ(知能指数)、これは必要だ。あが必要なものの一つに過ぎない。EQ(感情指数)、リーダーとしての持久力、決断力、臨機応変な問題処理能力、そしてほかにもたくさんあって、当人の専門職やビジネスにおける成功で明らかになっている。

(p118)

全てがボトムアップの形を取るリーダーシップは世界にない。

(p118)

中国では選挙をしないから、シンガポールの政治システムより選別され能力主義になる。だから彼らはEQを無視する。我々は選挙を戦えて勝てる人物を得なければならない。人々を率いる資質があっても、選挙では勝てない。有権者と親しい関係を保ち再選できないなら、リーダーとしてはあまり役立たない。

(p122)

成功するCEOは、海辺で見つかる宝石のようなものだ。海岸には多くの小石があり、きれいな色のものものある。しかし所詮それらは石だ。しかしたまに本当に貴重な宝石を見つけることができる。本物のエメラルドだ。拾い上げ、磨きをかける。そのような人は、自分の仕事に適切な資質をもち、エネルギー、情熱、社交性、人々をチームで働かせる能力がなければならない。

(p198)

「中国に事務所を持ってはダメ、現地の人たちの一人になって指図を受けるだけになるから」
「仕事の依頼なら、メールか電話をよこさなければならないでしょう。私はそれから引き受けるかどうか考えます。」

(p283〜284)リム・サウフン(広告クリエータで中国語と英語を完ぺきに話す)

「幸い私は他の仕事に集中することが可能で、人生は続いていく。私は動いてこれまでしてきたことをする。もし続けないなら衰えてしまう。ただ座って小説を読み、ゴルフをするというなら愚かだ。衰退するだけだ。毎日は挑戦だ。日々解決すべき問題がある。」

(p292)

「人は自分自身の残りの人生を精一杯生きなくてはならない。自分を憐れんで、ああ、どうして昔の自分に戻れないのかなどと言うなら、自分で自分をみじめにしているのだ」

(p293)

以下は、Amazonからの引用。

商品の説明
内容紹介
シンガポールの最高権力者リー・クアンユーに、同国の新聞社ストレーツ・タイムズの記者8名がインタビュー。世界とアジアの未来を語る。

小さな国の大きな指導者、リー・クアンユー。資源も産業もない小さな多民族社会を、どうやってわずか一代で世界最強の組織と国家に作り上げたのか。戦後アジアを代表するリーダーがインタビュー形式で語る国家論。
内容(「BOOK」データベースより)
独立から奇跡的な経済成長、そして繁栄社会の実現―不可能とされた目標をわずか一代で達成できたのはなぜか。困難な状況下で指導力を発揮し、社会を革新できた理由とは。経済と国防、世界情勢に対する危機意識を常に持ちつづけ、戦後アジアを代表する国家指導者として60年以上も君臨しつづけてきたリー・クアンユーが、中国の台頭、アメリカとの距離感、シンガポール衰退の可能性など、未来世界の予想図を次世代に語る。
著者について<編著>
ハン・フッククワン(Han Fook Kwang)
ストレーツ・タイムズ紙編集長。1989年より同紙にて勤務。著書にLee Kuan Yew:The Man and His Ideasがある。

ズライダー・イブラヒム(Zuraidah Ibrahim)
ストレーツ・タイムズ紙編集次長。国内ニュース担当。

チュア・ムイフーン(Chua Mui Hoong)
ストレーツ・タイムズ紙レビュー面担当次長。

リディア・リム(Lydia Lim)
ストレーツ・タイムズ紙政治面担当次長。

イグナチウス・ロウ(Ignatius Low)
サンデー・タイムズ紙(ストレーツ・タイムズ紙日曜版)編集長。

レイチェル・リン(Rachel Lin)
シンガポール・プレス・ホールディングス(SPH)奨学生。元ストレーツ・タイムズ紙政治担当記者。

ロビン・チャン(Robin Chan)
シンガポール・プレス・ホールディングス(SPH)奨学生。元ストレーツ・タイムズ紙マネー担当記者。<監訳>
小池 洋次(こいけ ひろつぐ)
1950年新宮市生まれ、74年、横浜国立大学卒業後、日本経済新聞社入社。経済記者、日経ビジネス誌記者、シンガポール支局長、ワシントン支局長、国際部長、日経ヨーロッパ社長(ロンドン駐在)、論説副委員長を経て2009年、退社し、関西学院大学総合政策学部教授に就任。2012年から関学グローバル・ポリシー研究センター長を兼務。1998年から2009年まで世界経済フォーラムのメディア・リーダー。

※本データは、小社での最新刊発行当時に掲載されていたものです。