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備忘録

キャノンの仕事術/酒巻久

著名な方らしいが著作を初めて手にする。一気に読了。
参考になる新たな考え方もあれば、やはりそうかもしれないと思える記載もあり、ビジネス書としては良書の部類と思う。
以下、要点をメモ。

・偏屈な人間は成功しない
  協力者が得にくい、原理原則から外れるから


・どうすれば仕事がうまくいくかを常に考える


・経験の量が職業人としての質を決定する。


・やりたい企画を通すための5つの行動原則
  1.趣旨を簡潔明瞭に述べる・・・5行から10行ぐらいに趣旨を明確に述べる
  2.日頃からの「信頼」を積み重ねる・・・普段から仕事をきちんとこなす。仕事振りがいい加減な人間は、突然、会議でいい提案をしたって聞き流される。
  3.「何が何でもやりたい」という執念を見せる・・・1,2度却下されてもあきらめない。部下の提案を却下する二つの理由。1.提案書をさらにに詰めさせるため。2.部下の本気度を確かめるため
  4.人の意見を聞く・・・自分の意見ばかりを言う人NG。 誰かの話をきちんと聞いたうえで自分の意見を言う。 そういえば、「っていうか…」という発言をしていた上司がいた。・・・これまでの話を全否定するような意見の言い方はNG。話の流れをぶち壊すから。(そのような上司の発言を同僚と苦笑していたことを思い出す。)
  5.会議を通してカギを握る人物を知る。・・・会議は人物情報の宝庫。発言力の強い人、ない人は誰か? 発言力のある人に根回しすることは企画を通す近道。

・ひらめきも執念から生まれる
セレンディピティ(偶然の発見)
四六時中、問いを自分に課しているとひらめく。


・馬上、枕上、厠上(ばじょう、ちんじょう、しじょう)


・頭の真中に仕事を置いた生活をする
絶えず、脳に適度な緊張感を与えるため。


・偉大な発明の多くは、新技術の組み合わせ
独自の発想と判断・・・妙手はない。脳に栄養を補給する。本を読む。音楽を聴く。絵画に親しむ。最先端の技術に触れる、等。
地道にコツコツと幅広く知識や教養の深掘りをするしかない。


・漫画で笑えなくなったら脳が退化した証拠


・じり貧の赤字部署は、放っておけば悪くなるだけ。動いたほうがよい。
無能な上司に当たったら、その次に有能な上司が来る場合に備えて勉強する。
臥薪嘗胆、雌伏の時


・手柄を譲れば、たいていの人は協力的になる。


・失敗した人間には、すぐに次のテーマを与える。自信回復、名誉挽回のチャンスを与える。


・失敗もミスも、原因を愉しく追及する。


・一罰百戒。小さなルール違反こそ見逃さない。立場の上の人こそ注意。


・目的のないルールは、単なる締め付けの道具にすぎない。


・使われ上手になること。
・・・相手の気持ちがわかるので。人を使い人を育てるのがうまい。先方の手の内を読み、微妙な駆け引き、神経戦に勝利しやすい。 夢をかなえるには現実をみることも必要。秀吉と光秀の違い。


・上司の気持ちも考えずに、ある日突然、結果だけ報告に及ぶサブマリン特許みたいな人は、使い物にならない。
人の気持ちが読める人は、部下に対する指導もうまい。


・管理職に必須の勉強
心理学、囚人のジレンマ


・危機管理の第一歩は「部下の観察」
部下は上司を三日で見抜く。(上司は部下を三年かかっても見抜けない)
ひたすら観察すること。行動や発言をメモに取ること。


・人がさぼる三大時間帯
朝一、午後一、終業前。


・悪いうわさを流されたとき信頼を回復する唯一の方法
何を言われてもじっと耐えること。精いっぱい自分の仕事をすること。


・錯覚でいいから自分でやったと思わせる。


・上司に不可欠な二つの能力・・・忍耐力と質問力
成功体験を部下に味あわせてあげる。上がぶれてはいけない。


・山路メモ
その日に起きたことを克明にメモしていた。その日のうちのノートに書き写し整理していた。外国からの来客対応とかに便利かも。


・外国ビジネスでだまされないための4つの心得
1.交渉内容は必ず文章化すること
  ついつい自分の都合のよいほうに解釈して、お互いに意見が一致したと思うことが多い。日本人同士でも必要。
2.交渉にはいい通訳を使う。
  勉強家で人間的にも素晴らしい人を使うこと。
3.「ギブ・アンド・テイク」の嘘を知ること
  そんなに出せるんだったらもっとよこせと言ってくるのが日本人以外。外国人は、はったりをかけてくることが多い。
4.酒と女に気をつけること
  相手は何をしかけてくるかわからない。何でもあり。


・無私の心。当り前のことをするのが一番難しい。
一流ほど基本の大切さを知っている。基本はあたりまで詰まらないが。


・大事なことは言い続けること
ポイントだけびっしり整理した直筆の訓示など。


トヨタとキャノンが似ていること
 言われたことをやるのだけではなく、主体的に考え、行動できる強さ。自分で考える癖が付いていること。
 「言われたことだけやっている奴には用はない」、「自分のための仕事だと思えないやつは今すぐ辞めろ」と言い続けること。


・米国の経営者は自分が何をやりたいのか明確なイメージを持っている。外部のコンサルタントを連れてきて、裏付けを依頼する。
根拠と防御と自信という3つの明確な目的を使ってコンサルタントを使っている。

・日本の経営者は、丸投げ。経営責任の放棄。


・MBAは、単なるツール
  人の痛み、人生の機敏がわかる、現場でたたき上げた工場長の人柄や経験がものをいう。
  仕事で大切なのは学歴ではなく、人間力
  目の前の仕事に懸命に取り組むこと。


・無私の心がない人間は、結局はダメ。
「天網恢恢、疎にして漏らさず」


・キャノン電子が中国に進出しない理由
  雇用が失われるから。企業の目的・・・1.社員の生活を守る、2.株主に配当する、3.税金を納めて社会に還元する
  「奇貨、置くべし」


・人事の仕事は、人の管理ではなく人の話を聞くこと。
  自分が若かったら、こういう会社で働きたい、と思わせる職場にできるか?


・トップと二番手の差はすぐ埋まる


・優秀な経営者ほど勉強し続けている


・ビジネス書は翻訳書に限る・・・外国の著者は、主張が明快。


・教養なき経営者は馬鹿にされる


・熟慮断行と朝令暮改の使い分け