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備忘録

「正解」に素直にならない。それが法律家には重要だ /コリン・ジョーンズ氏(同志社大法科大学院教授)

法曹関係者というほどではないけれど、法律を扱う者にとって貴重なコメントに遭遇。
早速、著書を注文。

http://globe.asahi.com/meetsjapan/100222/01_01.html

以下は、記事を抜粋してまとめたもの。

1)期待される答えは何かということに、学生が敏感になっている。
2)日本の学生は「正解」に対して素直だ。ある問題の正解Aと別の問題の正解Bとの間の矛盾に気づかない面さえある。
3)日本の司法試験は、何か正解があって、それを書かせようとする傾向がかなり強い。日本では、司法試験が終わると、法務省が出題趣旨を公表する。それを知った時、私はびっくりした。
4)試験で求められているのは「正解」ではないとは言える。一般的には、思考プロセスをしっかり表現できるかであり・・・(中略)・・・設問についての問題点を指摘したこと自体が一種の能力と評価された可能性もある。
5)法律家に求められるのは、情報としての法律をどれだけ知っているかではなく、いかに法律情報を処理できるか、なのだ。
6)弁護士の場合、今抱えている具体的な事件と、これまでの判例とはどこが同じでどこが違うのか、的確に判断する能力が求められる。言い換えれば、「有意義な(significant)事実」を識別する能力だ。
7)問題になりそうな部分を識別することは、イシュー・スポッティング(issue spotting)ともいう。何が重要で何がそうではないのか。理由を説明しながら体系的に整理し、他の状況と論理的に区別する技能である。
8)いま、目の前にあるケースは、どの点が判例と違うから、異なる結論を出さなければいけないのかを明確にする。前例を攻撃し、比喩や類推(analogy)の力を使い、法律を道具として使いこなす。
9)正解や、想定される筋書きの裏から攻められたときにどうするか。悪用された場合はどうするか。常に考えないといけない。それが実世界では重要だ。
10)相手が悪いという見方が常にいいとは限らない。・・・和解に持っていくには謝罪した方がうまくいく、という面には留意しておいた方がよい。
11)正解のない世界で活動できる人材
12)契約書は第三者のために書く。(これまでの交渉過程や事情がわからない第三者に、変な解釈をされないように、契約書はある)
13)契約書の読み手として最も重要な第三者は、裁判所。(当業界の場合も同じ?)

以下は、Amazonからの引用。

出版社/著者からの内容紹介
絶対不利な状況でも諦めない。白を黒に言いくるめ、絶妙の切り返しで逆転する。大企業から莫大な賠償金を勝ち取り、国家相手にも一歩も引かない。
訴訟先進国、アメリカで活動する弁護士たちは「手ごわい頭脳」をいかにして手に入れているのか。イシュー・スポッティング、ファクト・ファインディング、アナロジー等々、彼らの思考法とリーガル・マインドを現役アメリカン・ローヤーが解説する。
内容(「BOOK」データベースより)
絶対不利な状況でも諦めない。白を黒と言いくるめ、絶妙の切り返しで逆転する。大企業から莫大な賠償金を勝ち取り、国家相手にも一歩も引かない。訴訟先進国アメリカで活動する弁護士たちは、「手ごわい頭脳」をいかにして手に入れているのか。イシュー・スポッティング、ファクト・ファインディング、アナロジー等々、彼らの思考法とリーガル・マインドを、現役アメリカン・ローヤーが解説する。